マニュアル自体も進化中!業務効率化に役立つマニュアル作成支援ツールとは?

マニュアル自体も進化中!業務効率化に役立つマニュアル作成支援ツールとは?
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 一昔前のマニュアルといえば、ファイルにとじこまれた文字びっしりのドキュメントであったり、目がちかちかするエクセルファイルの山であったり、そういったイメージがあったものと思います。作らなければいけないけれども誰も見ない、誰も見ないから誰もアップデートしない、誰もアップデートしないからいざというときに誰も本当のことが分からない、そんな使われないにも関わらず致し方なく備えるもの、それが昔のマニュアルには多くありました。
 しかし、最新技術を利用したマニュアルサービスは、このようなかつてのマニュアル像を変化させつつあります。従来、マニュアルのデバイスとしては紙やパソコンしかなかったわけですが、急速に普及が進んだスマートフォンやタブレットといったモバイル機器によって、「作業をしながらオンライン上のマニュアルを見る」という学習効果の高い行為が可能になりました。そして、オンライン上で表現できるコンテンツは、インターネットの発展とともに大容量データを送ることが可能となり、画像や動画を含むようになりました。そのためマニュアルの読み手は、り直感的にまさに必要なタイミングで、マニュアルの内容を理解することができるようになったのです。

マニュアルとは何か?まずはマニュアルの定義をおさらいしてみましょう

 マニュアルには、狭義のマニュアルと広義のマニュアルがあります。狭義のマニュアルは、あるまとまりを持った業務全体の目的や、その前後の業務との前後関係、その業務の全体の方針や、全体を通じて行ってはいけないこと、業務に関わるメンバーの組織図、業務よりさらに細かい作業群の前後関係とそれぞれに要する標準的な時間、起こり得る異常事態のリストとそれぞれへの対処法、想像しえない異常事態が発生した場合の対応原則、後工程への納品物の最低品質基準や納期等、その業務に関わることすべてを包括的にまとめた文書です。
 広義のマニュアルとは、本来手順書といわれるのですが、具体的な作業を、作業者が具体的にどうすれば良いかをステップごとに詳細に図表とともに説明した文書になります。異常事態の発生時は、誰にその異常事態を報告すべきかが記載されています。
 これまでの伝統的なコミュニケーション媒体であったワード・エクセル・パワーポイントの3つの中で比較をすると、狭義の意味での業務マニュアルを書き表すのにはパワーポイントを用いるのが適当でした。というのも、業務全体の説明をするのには、業務のフローチャート図や組織図、異常事態発生時のエスカレーションチャートなど、色々な図表を作る必要が想定されるため、図表作成に優れるパワーポイントを使うことが適当だったのです。
 他方、手順書を作成するのには、エクセルを利用するのが適当でした。というのも、手順書に載せるコンテンツはテキストと写真又はスクリーンショット程度にすぎず、その程度であれば、エクセルへの貼り付けが可能であること、手作業の実行の際は、エクセルの手順書をスクロールしながらの作業が想定されるため、スライドごとに突然絵が切れるパワーポイントよりは、少しずつ絵が動くエクセルの方が、手順書の媒体として適当だと思われるからです。

マニュアルに使えるコミュニケーション媒体の特長を紹介

新たなコミュニケーション媒体としては、以下のようなバリエーションを挙げることができます。

①クイズの出題
e-ラーニングは講師と受講者との双方向的なやり取りがその特徴ですから、講師は受講者にクイズを出すことができます。クイズに全問正解するまで、講義の次のステップに進むことができないような仕組みを作ることもできます。この仕組みは受講者を講義に集中させ、より主体的な学習を促すことができます。

②静止画の使用
当然のことながら、最先端のマニュアルツールでは静止画を用いることができます。もっとも、静止画を用いることができたのはワード・エクセル・パワーポイント共に変わりがありません。Webツールにおける静止画は、要するに静止画に動的な動きを与えることができる点にその特徴があります。例えば、あるボタンを押せばある静止画をポップアップさせることができるのは当然のことですし、徐々に解像度を下げて全面画像を見せることもできますし、ある画像に関連する画像を自動的に表示させるような動きをさせることも可能です。
そういった意味で、Webツールにおける静止画は、Office製品における静止画とはその使い方において全く異なり、何らかのストーリーの小道具の一つとして活用することができるものと思います。

③動画の使用
伝統的なOffice製品には活用が難しかった媒体です。動画の効用は、それまではテキスト情報、又はテキスト情報と静止画情報の組み合わせでしか表現することができなかった人の運動にかかわる情報を、視覚的な情報として言語の介在無しに伝えることができるようになったことです。一般的な人間は右脳と左脳がバランスよく発達しており、右脳はそういった動作情報の直感的・イメージ的理解を担っているといわれます。従って、本来右脳的に効率的に意思伝達が可能であったのに、あえて言語情報を解する左脳情報として迂遠に理解してきた旧来の非効率なやり方が改善されることが期待されます。
また、動画の利用は、研修の内容に物語性を持たせて受講者の好奇心を掻き立てたり、トップマネジメントのメッセージを盛り込むことで、経営トップと従業員との心理的なつながりを作る手立てとして活用することもできる可能性があります。

マニュアルサービスに動画や画像情報を活用した例

  • i-Share

i-Shareは、トヨタ自動車のおひざ元である愛知県に本社を置き、Webやスマートフォン等の双方向情報伝達技術におけるコンテンツ管理・供給をする機能の強化に力を入れる株式会社クイックスが、それまでに培ってきた業務マニュアルの作成技術をかけ合わせて、XMLやデータベースの専門知識がなくても、誰にでも簡単に業務マニュアルを作れるマニュアル作成ソフトです。この記事では、マニュアル作成の老舗が最新のマニュアルサービスを使ってマニュアルを作るとどんなことができるか、という点からこのサービスに着目し、その概要を概観することにいたします。
 本来、マニュアルをリッチコンテンツとして作ろうとすると、静止画や動画のみならず、会社のロゴや文字、数字、写真、イラストなど全てを素材として適当な拡張子でソフトウェアにインポートし、それぞれの拡張子ごとに格納フォルダをつくったうえで、適切に配置をしなくてはいけません。これは甚だ技術的に難しいことで、このような作業をするためにイラストレーターという職業があるくらいです。
 i-Shareは、このような煩雑な作業を全て省き、ロゴ・文字・数字・写真・イラスト等をドラックアンドドロップの要領でi-Shareにインポートすることを可能にしました。
 さらに、実際にマニュアルの各ページを組み立てるときも、複数あるテンプレートを選択したうえで、インポートされている素材をドラックアンドドロップすれば、それでマニュアルができるように作られているのです。
 結果として、今までよりも多種多様な種類のリッチなコンテンツを、より短時間に、より簡単にマニュアルに落とし込めることになり、業務のマニュアル化が迅速に進んでいくことが期待できるわけです。
 

  • ClipLine

 ClipLineは、主に多店舗型の業態におけるサービスレベルの高水準化を狙って、今まで紙ベースでの通達やマニュアル配布に頼っていたところを、本部で作成した動画で作成したマニュアルをオンラインで各店舗に展開することによって、より従業員が分かりやすく指示された作業を動作レベルで理解することを目的に作られたマニュアルサービスです。
 I-Shareがあくまで「マニュアルを作る」ことを簡単にすることに重きを置いているのに対して、ClipLineは、マニュアルを短い動画の集合にしたうえで、これを各店舗の従業員が持つモバイル端末を介して直接従業員に視聴してもらうところまでを管理しよう、という踏み込んだマニュアルの形態の改革を試みています。
 ClipLineの特徴は、リッチメディアである動画コンテンツの活用を全面的に推し進めていること、そしてオンライン通信の特徴である双方向性を最大限に生かしていることです。ClipLineでは、まずClipLineが支援サービスの一環として新しいマニュアル動画を作成すると、配信された従業員はそのマニュアル動画を視聴したかどうか、本社側に確認をされます。マニュアル動画の重要性によっては、マニュアルで新たに指示された動作が自分でできているかどうか、自分の作業を撮影して、本社側に送信してテストされることもあります。もし不十分であれば、再び本社側から具体的なフィードバックを受け、やり直しすることができ、確実に個人個人へスキルを習得させることが可能となります。
 そして、更なるClipLineの利用を促進することで、ある店舗の名人級社員のスゴ技を動画で撮影して本社に共有し、その動きを本社側で科学的に分析して、マニュアル化して全店舗に展開する、といった使い方も考えられるはずです。「店舗対抗接客マナーコンテスト」を、ClipLine経由ですることも可能です。
 ClipLineは単なるマニュアルサービスの域を超えた経営課題の解決サービスであると言えるでしょう。

マニュアル作成を現場で行うには

 マニュアルの本質は、ある業務について、平時においても緊急時においても、責任者が最善の判断を採れるに足る情報を過不足なく整理し、しかもその情報を常に最新の物にアップデートし続けることにあります。そして、可能であればその編集は容易である方が改定が楽であり、そしてどこでも見られた方が緊急時の対応に便利ということになります。
 業務全体を俯瞰するタイプのマニュアルの構成の中身の基本は、パワーポイントを基本とする程度でも問題はありません。一方で大量の写真を格納する場合に写真をフォルダに格納してアイコンのクリック式にするであるとか、重要な作業について動画を撮影し添付するであるというように、文字情報以外のコンテンツを盛り込んでいく必要はあるでしょう。そして、マニュアルの作成・管理は記事で紹介したClipLineのように簡単にマニュアルが作成・配信するソフトウェアの導入を図り、マニュアル作成・更新の迅速化を測ることでより現代のスピード感にマッチしていきます。このようなサービスを使うことでマニュアルコンテンツは、インターネットを通じて容易にアクセス可能なものにしていくことができます。

 

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