OJT研修の実行手順とは?OJT研修とOFF-JT研修の違いからOJT研修の目的まで解説

OJT研修の実行手順とは?OJT研修とOFF-JT研修の違いからOJT研修の目的まで解説
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企業の発展や個人のスキルを向上させるためには、研修は必須になってきます。では、研修はどのようなものがあるのでしょうか?また、自社での開催は可能なのでしょうか?今回はそんな悩みを持つ経営者や人事の方のために、研修の種類と目的、自社で研修を開催するために必要なことなどを解説していきます。

研修とは何か

 知識や技能などを修得することが「研修」のもとの意味です。英語では、「study」や「research」と訳されるため、ビジネス業界では勉強会として考えられています。企業全体で取り組んでいることが多く、主に業務の一環として開催されています。
 よく同じに意味に捉えられてしまう用語として、「セミナー」が挙げられます。簡単に説明すると、参加したくなくてもしなければならない強制的なものが「研修」、意欲が高い人が自分の学びたいことを積極的に取り入れようとするのが「セミナー」といった違いがあります。このように説明すると「研修」は悪者のようなイメージになってしまいますが、全員が参加する必要があるため、会社全体を通して知識を共有することができる絶好の機会なのです。
 組織にとっても、社員一人ひとりにとっても有意義な研修にするためには、それぞれの研修を意味のあるものにしなければなりません。全体で行う講演会に近い研修なのか、的を絞って行うものなのかなどによって変わってきますので、それぞれの研修にあった目的や目標を明確化した上で研修内容を考案、見直す必要があります。
 有意義な研修は、組織のボトムアップや改革にも繋がります。

研修の種類について解説!OJT研修とOFF-JT研修の違い

 研修は、大きく分けて「職場内研修(OJT)」と「職場外研修(OFF-JT)」の2種類あります。
 OJT(On the job Training)とは、仕事上で学ぶことができる研修のことで、実践形式です。例えば、仕事をしていく中で先輩から指導を受けたり、これまで学んできたことを実際に行うなどです。基本的なことを学び、実際に行動することによって知識や技術を自分のものとします。その繰り返しにより、応用的なことも実践するのがOJTです。一言で表すとしたら「アウトプット」のようなものです。
 OFF-JT(Off the Job Training)とは、グループワークや講演会など職場から離れたところで基本的な知識やビジネスマナーを学ぶことです。こちらは、いわゆる「インプット」です。off-JTは3つの研修内容の区分にわかれています。

  1. 階層別研修・・・階層研修とは、新人社員・若手社員・中堅社員・管理職の4つの階層に分けられて実施される研修のことを言います。
  2. 職種別研修・・・職種別研修とは、「事務職」や「営業職」「技術・開発職」などといった職種に区分し、それぞれに合った内容の研修を行うものです。どの職種でも専門知識が必要となり、マニュアルだけで業務を行うことは不十分で、OJTで一つ一つ実践していくばかりでは効率が悪いです。業務を効率化するためには、各職種に応じた「職種別研修」が必要になってくるのです。
  3. テーマ別研修・・・テーマ別研修とは、階層や職種に関わらず全社員を対象とした「ビジネス研修」やそれぞれの「テーマ」にそって行われる研修のことを言います。これは、「選択型研修」とも言われ、自分の意思で選ぶことができます。自分に必要な研修やより多くの知識や技術を習得できる機会なので、積極的に取り入れている企業もあります。

  Off-JTで学んだ知識やマナーを、OJTで実践することが研修の良いサイクルとされています。どちらか片方だけでは意味がなく、社員や組織の成長に繋がらないため、セットで行う必要があります。

OJT研修の3つの形式とは?

 研修には3つの形式があるとされています。研修を開催する上で、それぞれ必要な事項や費用などがあるため、表を参考にそれぞれのメリットとデメリットを説明していきます。

1.座学・講義型研修
 内部・外部に関わらず、講師が参加者に知識を提供する形式です。
 メリット:専門の講師にお願いすれば、それだけ伝えられる情報も多いため一度にたくさんのことを学べる。
 デメリット:理解度のバラツキや参加者が自動的になりがち。外部から講師を呼ぶ際には費用がかかり、かなりの高額にる可能性も。

2.対話・体験型研修
 最近取り入れる企業が増えてきている、ワークショップ形式の研修です。
 メリット:対話や実体験を行うことによつ社員のコミュニケーション増加に繋がる。
 デメリット:費用は講師を招く場合にはピンキリ。高額になる可能性も。

3.eラーニング
 パソコンやスマートフォンなどから、必要な知識を問題形式で学ぶことができる最も簡単な研修形式です。
 メリット:端末とネット環境さえあればいつでもどこからでも受講することが可能であるため、仕事と両立しやすい。低コストで取り入れることが可能。
 デメリット:受講することに関して強制力が弱い。

OFF-JT研修はどうやってやるの?OFF-JT研修の手順を紹介

 Off-JTは、どのようにして開催すれば良いのでしょうか?ここでは、off-JTの具体的なやり方について、「新人研修」を例に説明していきます。

 「新人研修」では、全社で統一する必要がある常識や、企業理念の周知などを伝える必要があります。そのため、ビジネスマナーや基礎的なことを教える研修を考えなければなりません。
 この研修を行うためには、以下の手順で行っていきます。

1.目的、目標の設定
 研修を開催する目的と、その研修を行ったことによる目標を明確にすることが大切です。新人研修では、会社のルールやビジネスマナーを学ぶための場を提供することが「目的」。組織人としての自覚を持ち、社会人としての常識を身につけた上で、熱心に仕事に取り組むようになるなどが「目標」となります。

2.講師の選定
 社内から選定する場合には、企業理念をしっかり理解していることと、社会人としての常識があることが大前提です。また、外部から講師を呼ぶ場合には今までの実績など信用できるものがあるか確認しておきましょう。

3.企業・組織の理念や経営方針を講師に確認
 いくらビジネスマナーの知識があっても、その会社の理念や経営方針を理解していなければ研修を行う意味がありません。経営者と講師の、知識のすり合わせが大切です。

4.伝えたい常識、会社のルール等を全て挙げていく
 「常識」は、ビジネスの世界でもそれぞれ異なります。そのため、その会社に合った常識を正しく伝えるために改めて全ての常識やルールを列挙する必要があります。全ての答えは、経営者にありますので、研修の内容を考える時には経営者の協力が欠かせません。

5.研修の内容の精査、研修方法を決める
 ここで、ようやく研修内容を考える作業に取り掛かることができます。新人社員に伝えるべき内容を精査し、どのように伝えるかを決めていきます。例えば、紙媒体で資料として配布しそれをもとにスライドで説明していくなどの方法です。

6.シミュレーションを行う
 初めて行う研修前には、必ずシミュレーションを行う必要があります。講師や経営者だけでなく、今までのステップまでに関わりがなかった第三者にも同席してもらう方が良いでしょう。新たな視点から見ることで、問題点や効果の有無がはっきりしてくる可能性があります。

 大体のステップは、どの研修もこのような形になります。最初に、研修を開催する目的と目標を明確にすることが大切です。これをはっきりさせることで、自ずとどのような研修を行えば良いか見えてくるはずです。

OJT研修を成功させる方法とは?実際の成功事例を元に解説

 OJTを成功させるためには、ディズニーリゾートのキャスト育成方法を手本に考えた方が良いでしょう。たえず、素晴らしい人材を育成し続けているディズニーリゾートのOJT方法は、多くの企業が参考にしているのです。

 まず、有名なOJTを例に考えていきます。
 ディズニーランドにはパートナーズ像という、入り口の近くにある像があります。ある新人スタッフ(以下キャスト)の最初のOJTは、開演前からこの像の前でひたすら立っているというものでした。開演してからも入園してくるゲスト(お客様)の楽しそうな顔を眺めているばかりでしたが、15分ほど経過した時一緒にいた先輩キャストが「何を感じましたか?」と聞いてきました。新人キャストがとっさに「この笑顔に応えたいと思いました」と返答し、先輩キャストは「それが、あなたの仕事です」と微笑んだのです。
 この後、新人キャストがゲストのために一生懸命働いたのは言うまでもありません。

 このことから、マニュアルを見せるよりも仕事に対する意識の向上や理解が早いのは明確です。そのことを踏まえて、以下の手順でOJTを行ったほうが良いでしょう。

 ・みせる(実際に上司がやる、仕事をやっているのを見せる)
 ・説明、解説する(みせた仕事についての解説、説明)
 ・実際にやらせてみる(今、目の前で見せた仕事を実際にやらせてみる)
 ・評価をする、追加の指導を行う(実際に仕事を行ったことに対する評価、どうすればもっとよくなるかなどの指導を行う)

 どの研修もこのような手順で行えば、有意義なOJTとなることでしょう。

OJT研修の事例を紹介

1.「株式会社荏原製作所」
 風水力事業を中心とする、ポンプやコンプレッサなどの産業機械メーカーで、大きな事業を展開し続けてきました。しかし、近年のグローバル競争から以下のような問題がでてきました。
 ・少人数での仕事のスピードと効率の向上が必要
 ・多忙のため、職場の意見が希薄になってしまう 

 この背景から「職場ぐるみのOJT」の大切さを再認識し、OJTリーダーを育成するための研修が始まりました。研修期間終了後も定期的な振り返りと事例検討会を行ったことで、OJTリーダーの意識が高まり、以前よりも新人育成に本気で取り組むようになってのです。
 現在では、かつての新人がOJTリーダーになるほどの良いサイクルが生まれています。

2.株式会社ぐるなび
 株式会社ぐるなびは、「ぐるなび」という飲食店のインターネット検索サービスを取り扱う企業です。創業当初は、売れ行きも良く競合も少ない状況でしたが、クライアントと長続きする関係が築くことができないほど、営業の質が低いことが判明しました。このことから、「ぐるなびビジネスカレッジ」という営業教育の場を立ち上げました。この中で基礎を学んだあとに「コンサルティング営業実践研修」が行われています。

〈コンサルティング営業実践研修の手順〉
 ・実際の店舗のオーナーのニーズは何なのか仮設を立てる
 ・インタビューを実施し、店舗の課題などを抽出しグループで提案をまとめる
 ・ぐるなびを利用することで、どう解決できるかを実際にオーナーに提案する

 実践形式なので、OJTの研修と言えるでしょう。この研修では、実際にオーナーへのプレゼンをするため今までの研修よりも本気で取り組むことができ、大切な営業提案力を身につける良い研修となったのです。

3.東京電力エナジーパートナー株式会社
 東京電力エナジーパートナー株式会社は、ガス事業や小売電力などを行っている企業です。電力の自由化にともない、新規事業や新商品を開発するために発足された「商品開発室」。多様な人材を集めた部署ですが、事業を生み出すことを経験したことがある人が少なく、商品開発全体の知識レベルが低いことが問題でした。
 この背景から「マーケティング研修基礎」を開催することになり、研修後、以下のような変化が現れました。

 ・マネージャーの意識が、「教える」から「一緒に考える」に変化した
 ・ホワイトボードを使う頻度が高くなり、議論することも増えた

 研修を行うことで、受講者や上司の意識を変えるだけでなく、自らの意見を積極的に出す活発的な職場へと変化したのです。

研修を成功させるために欠かせないこと

 研修には、様々な種類があります。どの研修も適切に活用することにより、個人や組織の発展に大いに影響を与えます。逆に、理解せずに研修を行ってしまうと時間も費用も無駄にしてしまうので、この記事を読み返し、しっかりと理解した上で研修を行うようにしてください。
 適切な研修を取り入れて、さらなる企業や個人の発展に役立ててください。

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