研修はなぜ行う?研修の背景と効果

研修はなぜ行う?研修の背景と効果
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研修は高度経済成長期から重視されるようになったと言われています。昔から取り入れられている研修が今でも存在し、時代と共に次々と新しい研修が生まれているのはなぜなのでしょうか?
 研修の背景や期待される効果について、研修の効果を得るために大切なことなどを詳しく解説していきます。また、研修を開催しようと思っている経営者や人事部の方に参考になることも多数紹介していきます。

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研修の歴史について

 その時代の背景により必要とされる研修は変わってきます。研修が行われるようになった時代から、各年代ごとの背景に照らし合わせて、どのような研修の歴史が刻まれてきたのか解説していきます。

 研修が始まったのは、1950〜1969年の高度経済成長期からと言われています。戦後復興の流れを受ける時代で、労働力のボトムアップが必要であったことが背景にあります。
 1950年代から現在にいたるまで、目まぐるしく変化する時代背景の中で、その時代に対応すべく様々な研修がされてきました。形は変わっているにしても、今まで生み出されたどの研修も現在取り入れられているものばかりです。
 現代では、OJTとoff-JTを効率的に活用すべく様々な形式の研修方法を取り入れたり、研修を専門的に行っている企業なども増え始め、研修制度は充実していると言えます。
 研修の歴史を振り返ることで、企業に求められる研修は時代の背景に大きく影響していることがわかったと思います。これからの時代に向けて、また自社に必要なものは何かを明らかにした上で、導入する研修を決めることが大切であることがわかります。

研修の目的とは?

 研修とは、「わかる」ではなく「できる」レベルに到達するまで行う、または「精神面における成長」が見込めるもののことを言います。なので、研修全般の本来の目的は、研修を開催するだけではなく、研修を行ったことによる成果を得ることだと定義できます。
 全ての研修に共通して言えるのは、「できる」レベルにまでなる必要があることですが、それぞれの「研修の目的は研修ごとに異なる」ということを理解しておく必要があります。また、研修の目標をはじめる前に決めたり、理解していなければ研修は全く意味のないものになってしまいます。そのぐらいそれぞれの研修目標を定めることや理解することは重要なことなのです。

効果を出すための研修目標

 研修は成果がでなければ実施する意味がなくなってしまいます。成果や効果を出すためには、研修の目的を設定することと、その目的を実現するための「目標設定」が大切です。目標は、設定段階から明確にしておくことでより効果的な研修を開催することができます。
ここからは、研修目標の設定に有効なフレームワークであるカークパトリック提案の「4段階評価モデル」を紹介します。

 このモデルは、教育の達成度をレベル別に評価したもので、世界的に有名かつ実用化されています。Levelは、1〜4段階に分かれており、受講者の反応や理解度、行動などによって判断します。

 Level 1 Reactin(反応)
 教育の内容に反応する段階であり、研修では、参加者の内容による満足度や感動などの良い感情を抱いているかなどを表します。このLevelに到達しているかは、アンケート調査などで確認することができます。

 Level 2 Learning(学習)
 教育を受けた内容を理解していること、自分の知識として定着している段階のことです。研修では、しっかりと研修内容を覚えられている状態のことを言います。レポートや筆記試験、面談などの実施によって到達しているかを確認することができます。

 Level 3 Behavior(行動)
 実際の行動の中で、理解した学習内容を元に実践できている段階のことです。研修では、研修で得た知識を現場や業務で実践できている状態のことを言います。このLevelに達しているかは、上司や同僚からの他者からの評価や自己評価によって確認することができます。

 Level 4 Results(結果)
 教育を受けた内容を生かして結果を出している段階のことです。研修では、研修の実施により企業の業績や生産性が向上した状態のことを言います。業績の向上は数値などで判断することは容易ですが、それが研修の成果なのかを突き止めるのは困難なため、Level 4に到達したことの確認は難しいとされています。

 他にも様々な目標設定がありますが、代表的な「4段階評価モデル」を活用することで研修の効果が変化することでしょう。

研修に期待されている効果とは

 研修に期待されているのは、一言で表すと「行動変容」です。行動変容とは、研修で得た知識や技術を会社の業務や仕事で積極的に活用することで「仕事ぶりを変える」ということを意味しています。
 研修を開催したり、社員を研修に行かせたりするのは経営者であり、常に会社の利益や組織の発展を目指しています。そのためには、個人の成長が何よりも欠かせないため、「研修」という場を設けているのです。
 新しい知識を得ることができるから、やる気になるからという理由だけで参加している社員も中にはいることでしょう。人事部や個人と経営者の研修についての考え方に隙間があるのもまた現状です。経営的観点からするとただの「気づき」の場では意味がないのです。
 研修を行うことで行動の変容や成果が出て、初めて研修の効果がでていると言えます。

研修の効果を見える化する

 研修の効果を確かめるためには、「可視化」つまり目に見える形にすることが必要になってきます。見える化するために、使われている方法では「研修効果測定」が一般的です。
 研修効果測定には、
 ・アクションプラン、改善計画の作成
 ・演習
 ・アンケート
 ・個人/グループインタビュー
 ・理解度テスト
 などの様々な手法があります。このような手法を使用して、見える化することにより研修に効果があったのか把握できるようになります。

 また、効果測定を行う目的も理解しておく必要があります。目的は、「4W1H」で検討することでより明確になります。
 Why:評価するのはなぜか?評価するのは何のためか?
 What:何を評価するのか?
 Whom:評価はは誰に依頼するのか?
 When:評価をするのはいつか?
 How:評価はどのようにするのか?
 研修目標や目的が明確化されていれば、この4W1Hにそって評価の意味を明確化することは容易なはずです。迷った時は、改めて研修を始めた意味を考えて見たほうが良いでしょう。
また、研修効果測定を行う上では信頼性の高いデータが必要になってくるので、できる限り数値化できるように工夫した方が研修の効果がわかりやすくなります。

研修による効果、効果測定による効果の事例

 様々な研修によって、どのような効果が得られるのでしょうか?実際に研修を行い、効果を得た実例を3つ紹介します。 

1.TISインテックグループ
 コンサルティングやシステムインテグレーション、クラウドサービスなどを行っている、約20,000人を抱える企業です。
 大規模組織になったことをきっかけに、短期間でのグループビジョンを実現する組織改革を行うこととなり、そのための研修を検討することになりました。
 外部の企業をパートナーに選定し、約半年間の話し合いや何度もシミュレーションを重ね「ビジョン浸透研修」を開催。その結果、以下のような効果が生まれました。

 ・今までできていなかったグループ内の連携が図れるようになり、より高いレベルでの業務プロセスの構築や改善などができるようになった。
 ・単独では実現できなかったクライアントの提案も、グループ内の企業に紹介することにより成功した。
 ・グループ内の連携により、新たなビジネスが生まれた。

2.株式会社ダイワコーポレーション
 倉庫業から営業倉庫会社として成長し、現在では物流不動産、物流コンサルティング事業を行っている、次々に事業を展開している企業です。
 物流を扱うプロとして、立派な人間に育成するために人間力向上を絡めたリーダーシップ研修の実施を検討していた株式会社ダイワコーポレーションは、外部企業に依頼し「リーダー研修」を行いました。
 研修後、以下のような効果が現れています。

 ・受講者である、主任や係長が学んだ手法を仕事に取り入れるようになった。
 ・経営者とする会話のレベルが上がった
 ・一人ひとりが能動的に行動するようになり、常に新たな課題をクライアントから聞き出し、先手を取れるようになった。
 ・コミュニケーション向上に繋がり、積極的に研修を受けたいと志願する社員も増えてきた。

3.アイデックスラボラトリーズ株式会社
 アメリカ・メイン州に本社を構える、動物臨床検査や水、牛乳検査の分野で最先端の製品やサービス、情報技術ソリューションを提供する企業です。
 様々なバックグラウンドを持つ社員が多く、自社製品の特徴をアピールする営業スタイルがメインであったため、標準的なセールスのスキルやプロセスがないことがアイデックスラボラトリーズ株式会社の課題でした。
 そのような背景から、外部企業に依頼し「セールススキル研修」「セールスプロセスの構築」「マネジメント力の向上」を研修として行うことになりました。
 以下が、研修後に現れた結果です。

 ・研修4ヶ月後から、徐々に販売台数が増え始めた
 ・コアとなる製品で飛躍的な業績アップが実現した
 ・営業管理を標準化することができ、同じ基準で営業進捗を管理できるようになった。
 ・会議中に発言する社員が増えた

どの企業も、事前にしっかりと自社にあった目的や目標を明確にし、何度も話し合いやシミュレーションを行うことによって有意義な研修となり、成果を出すことができたのです。

まとめ

 時代の背景に合った研修がいつの時代にも活用されてきました。研修を行うことは大変だと思われることが多いですが、企業や組織の発展には欠かすことができないものです。また、自社で行うことが難しい企業でも外部の専門講師を招いたり、誰でも簡単にできるコストがあまりかからない便利なツールを利用するなど、工夫すればすぐに実践することができます。
 日本経済の未来の発展に必要な研修は、目的や目標を明確にし、正しい評価を行うことが大切です。

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