最新医療はeラーニングで学ぶ?テクノロジーによる医療教育の変化とは

最新医療はeラーニングで学ぶ?テクノロジーによる医療教育の変化とは
公開日: 最終更新日:

医療の現場で働いているみなさんは、研修やスキルアップにeラーニングを使っていますか?eラーニングは隙間時間で勉強できるので、忙しい医療従事者にはぴったりの学習法です。そこで、テクノロジーを用いた医療教育の変化や、最新の事例を解説していきます!

Contents

医療教育とは

医療教育とは、医療に携わる者が受ける教育のことです。具体的に医療に携わる職業には、医師・歯科医師・薬剤師・看護師・理学療法士・作業療法士・臨床検査技師・放射線技師などがあります。医師・歯科医師・薬剤師に関しては大学機関で勉強し、そのほかに関しては大学以外にも短大や専門学校に通って資格を取得する方法があります。

日本で西洋方式の医療教育が始まったのは1857年です。幕府からの指令により、オランダ人軍医が長崎に医療を勉強するための学校を始めました。第二次世界大戦の頃には、アメリカを中心に医学技術が進歩していきました。しかし進歩と同時に専門的すぎる内容となり、リハビリや予防医学に比重が置かれなくなりました。それに対して批判を受けたことから、1960年ころから医療教育の改革が起こり始めました。その後30年かけて、教育目標が整備されて教えるべき医学知識が整理され、WHO(世界保健機構)により組織的に広められていきました。

近年の医療教育

現在の日本は少子高齢化やグローバル化、そしてIT化が進み、医療教育にも影響を与え改革が求められています。状況がどんどん変化していく中で、医学の技術も日々進歩しています。一昔前は、大学でひとしきり知識を覚えて資格を取れば、田舎に戻って開業医ができることもありましたが、今はそうではありません。知識をつめこんで覚えるだけではなくて、変化に対応しながら、最新情報を学び取って日々アップデートしていくための能力が医療でも必要です。そのためにも、学生のうちから問題解決能力や情報収集能力、自己学習能力を積極的に身に着けられるような教育が求められています。

eラーニングを医療に用いるメリット

eラーニングとは2000年代から始まった教育法で、インターネットを通じてパソコンやスマートフォンで学習する方法です。このeラーニングは医療分野でも用いられ、さまざまな恩恵をもたらしています。

インターネットにつながっていれば、自分のスマートフォンやタブレットからアクセスすることができるので、空き時間にいつでも利用できることが魅力のひとつです。パソコンは家に持っていない人もいるので、スマートフォンで勉強できることも大きな利点です。医療現場では人材不足におちいっていることが多く、医師や看護師など医療従事者の日々のスケジュールは多忙を極めています。そのため感染症予防のための院内研修など、予定をあらかじめ決めても参加できないことが多々あります。しかし、eラーニングで研修内容を配信することによって、当日参加できなくても空いた時間に見ることができます。特に、医療法で参加が義務づけられている講習会について、eラーニングの配信で講座を受講することにより、院内の出席率をアップさせることが可能になった事例もあります。

また、医療現場は人事異動の多い職場です。別の棟に移動になったり、退職や中途採用もたくさんあります。新しく配属された現場で、異動があるたびに先輩が一から横について教えるのは難しいのが現状です。そのときeラーニングを新人教育で用いることによって、教育係の負担や研修費用を大幅にカットさせることができます。

eラーニングのプラットフォーム上に、研修動画、すべての院内マニュアル、教材、医療事故の事例集、リスクマネジメントについての資料が閲覧できるよう管理しておけば、いつでも取り出して学習することが可能です。研修内容に変更があったとしても、ウェブ上のデータを書き換えれば修正が簡単にできることも、大きなメリットです。さらに研修生は、eラーニングでオンラインテストを受けることができます。テストの内容について、管理者が参加率や正解率を知ることができるので研修生の成熟度もはかることができます。これは研修生だけではなく、現社員のスキルアップや情報のアップデートにも用いることができます。

テクノロジーによる医療教育の変化事例

現在、医療系のあらゆる学会でeラーニングが導入されています。たとえば、がんを専門とする医師や、医療を志す医学部生を対象にした、スキルアップを目的とするeラーニングサービスを提供する学会があります。忙しいスケジュールを毎日こなしている医師が、定期的に勉強会に参加する時間を持つことは困難です。そこで、eラーニングを利用すれば、インターネットとスマートフォンを使って最新情報を勉強する講座が配信されます。がん以外にもあらゆる疾患に関する学会、内科や外科など科別にそれぞれeラーニングシステムが導入されています。今や医療教育現場で、eラーニングは当たり前の勉強法になっていると言っていいでしょう。

医師以外にも、薬剤師、看護師、理学療法士、介護士などを対象にしたeラーニング講座も多数開設されています。遠方で学びに行けなかったり、日程調整が難しい医療従事者にとって動画で学べるeラーニングはぴったりの教材です。勤務中の病院で提供されるeラーニング以外にも、外部のeラーニングを用いて勉強することにより、新しい病院や施設に転職する際に有利になります。

医療系の大学で、入学前の課題としてeラーニングを課しているところもあります。試験に合格して入学手続きを取ったら、入学式までの春休みの期間に課題が与えられます。解剖学などベースとなる知識をeラーニングで身につけておけば、実際の授業が始まったときにスムーズに実技などを進めることができます。

妊娠・出産・育休・介護などで医療現場をしばらく離れていた女性医師の復帰をサポートするためのeラーニングサービスがあります。最新の治療法や法律を学べるだけでなく、女性医師としてのキャリア形成を考え直すきっかけとなる内容も含まれています。このサービスを利用することによって、ブランクがあっても事前に現場の感覚を思い出すことができ、しっかりと復帰の準備を整えることができます。

また、医療通訳者を対象としたeラーニング講座も広く提供されています。グローバル化が進んで外国人観光客や居住者が増加しているほか、メディカルツーリズムが世界的に盛んになっているため、多様な外国語を話す通訳者が日本の医療現場で必要とされています。医療の内容は専門的であるため、医療通訳者になるためには医学知識を身に着けなければいけません。そのために、外国語を得意とする人たちに向けたeラーニング講座が開催されています。

また、eラーニングとは別のテクノロジーも「シミュレーション教育」と呼ばれる医療教育の現場では開発されています。シミュレーション教育とは、実際の医療現場で実践力を発揮するための教育法です。これまで日本ではシミュレーション教育はあまり注目されていませんでした。しかし、2023年以降日本の医師がアメリカで医師の資格を取得するためには、国際的に認定された大学でこのシミュレーション教育を含んだカリキュラムを受けている必要があります。これは「2023年問題」と呼ばれ、現在日本の医療教育のカリキュラムが変わりつつあります。その流れの中で開発され今注目を浴びているのが、医療用ロボットである対話型シミュレーターです。これは人の形をしたロボットで、鼻や口の内視鏡検査、痰の吸引などのトレーニングが可能です。学生や医療現場の研修生などが使い、もし下手に吸引などをしたらセンサーが反応して「いたっ」「おえっ」など実際の患者さんのようにリアルな生体反応を示します。人間に近い反応が出るので、微妙な力加減など現場でしか学べないことを、ロボットを使って研修で習得することが可能です。現在、大学病院や総合病院、医療系の専門学校で導入されています。

医療現場で使用されているeラーニングツール

株式会社学研メディカルサポートが、看護師向けの講義を「ビジュアルナーシングサポート」eラーニングで配信しています。また、第一線で活躍する医療者の監修の元作成された「SafetyPlus」では、医療安全研修を学ぶことができます。その他、院内研修を作成し管理する「メディ蔵」でもさまざまなコンテンツを配信しています。

今後の医療教育とeラーニング

今後は、VR (VIrtual Reality / バーチャルリアリティ) を用いたeラーニング教育が医療でも期待されます。VR専用の機械を目に取りつけると、あたかも自分がその場にいるかのような臨場感でその世界に入り込むことができます。これを外科手術の研修に活かして、著名な外科手術の手技を、同じ手術室で立ち会っているかのように見ることを可能にしました。実際の手術は限られた人数しかそれを見ることができませんが、遠くに住んでいてもこのVRがあれば、最新の手術を何回でも繰り返し見て習得することができます。大事なポイントには執刀医による解説が入っているので、マンツーマンで講義してもらっている感覚になります。名医による技術が最新のテクノロジーを使って広まることによって、救える命が増えていくはずです。今後の普及に期待がかかります。

まとめ

医療教育におけるeラーニングやテクノロジーの変化について紹介してきました。eラーニングを用いた教育は、医療でもさまざまな分野で頻繁に使われていることがわかりました。そして、今後の医療教育の変化とテクノロジーの普及にも期待できます。勤務している病院や施設で導入する際の参考にしてください!

PICKUP